2023年9月1日金曜日

第3章第4節 部落はこわい・・・

    第3章 差別意識の諸相
    第4節 部落はこわい・・・

    論より証拠。

    一度、山口県S市にある被差別部落〇〇に遊びに行きましょう。 ご一緒します。

    その部落の中に、冷暖房完備の隣保館があります。 また地区には、部落解放同盟山口県連S支部の支部長さん、書記長さん、青年部長さん、婦人部長さんが住んでいます。

    ちいさな被差別部落ですから、〇〇部落全体を見るのも時間がかかりません。 S支部の人々は、差別されても、それをはねのけて生きていこうと闘っている人ばかりです。 部落解放運動をしている人たちとの具体的な出会いは、「部落はこわい」という偏見や先入観を打ち砕いてくれます。 そして、ほんとうにこわいものはなになのかが、分かります。 ほんとうに恐いのは、被差別部落の人を部落ということで差別する私たちの内なる<社会的>差別意識にあることはすぐに気がつきます。

    人は、被差別部落の人を差別しても、死ぬことはありませんがあ、被差別部落の人は、差別されて死ぬ場合もあります。 結婚差別・就業差別・・・、いろいろなかたちで差別されて、自分のいのちをたった悲しいできごとがあります。

    佐部悦をなくした、被差別部落の人と出会うことで、自分の差別性を克服したいと願って部落に足を運ぶ人を、誰も糾弾する人はいません。

    そうですね、隣保館を借りれば、30~40人の研修会を開くことができるでしょう。 分団討議の部屋もいくつかあります。 場合によっては、ごろねでよければ宿泊も可能です。

    広島キリスト教社会館jのある〇〇町のような大きな部落ではありません。 その〇〇町は西日本最大の被差別部落です。 S支部のある部落は、山口県にあるちいさな、平均的な部落です。

    準備は私たちでして、S支部の方々には講師になっていただきましょう。 支部長さんと青年部長さん、婦人部長さんは、生粋の部落民です。 青年部長さんのつれあいの方は、被差別部落出身ではありません。 広島で学校の先生をされたいた方の息子さんで、山口大学在学中に解放運動に触れ、そのままS市の被差別部落にすみつき、二男二女の父親としてがんばっておられます。

    部落解放同盟S支部には、山口の部落解放運動のすべての情報が入ってきます。 S支部で学べば、山口の被差別部落の状況と、部落解放運動の昨日・今日・明日が分かります。

    この文章を読んでいるあなたが変わったら、西中国教区も分区も教会も少しく変わります。 部落解放に一歩近づきます。 1人でも2人でもかまいません。 5人でも6人でもかまいません。 20人でも30人でもかまいません。 部落解放同盟S支部を、日本基督教団西中国教区の山口県諸教会の、部落解放運動の出発点にしてください。

    S支部の人々とであって、もし、それでも<部落はこわい>と思われたら、それは、あなたが完全な差別者である証拠です。 差別の幻想からみずからを解き放つよい機会となります。

    この文章『部落差別から自分を問う』をあえて書いたのは、部落差別に関して観念的な知識を提供するためではありません。

    日本基督教団西中国教区の内外における差別事象を正しく認識したあと、「教会」と「部落」が出会うことを願って書き下ろしたものです。 ある牧師は、「このような文章は書かない方がよい。 何が差別か、それを実証することで、ほんとうに差別的な人は、差別をなくそうとするのではなく、差別の仕方を学んでしまう」と、「寝た子を起こすな」という言葉に内在する差別的な論理をまたぞろ展開します。 「誰も差別意識を持っているにもかかわらず、差別語をつかなわなくなる。 それは、差別が潜在化することにつながる・・・」と言われます。

    しかし、私たちの中に内在する差別性は、観点的な作業では完全に取り除くことはできないのです。 差別的な「あたま」を隠すことはできても、自分のうしろにある、自分の目のとどかないところにある「しっぽ」は出っ放しの場合がほとんどです。 「あたま」を隠すことに徹するなら、「あたま」だけでなく「しっぽ」も隠しきってほしい。 一生、日本基督教団の牧師として、全生涯の間、<差別意識を持っていたとしても被差別にある者を差別しない>そのような生き方をまっとうすることは不可能です。 いつか破綻を来たし、その差別性があらわになってきます。

    私のこの文章でとりあげた差別事象は、差別者の「あたま」ではなく、「しっぽ」なのです。 まあ、亀さんみたいに、「あたま」を出したりひっこめたり、「しっぽ」を出したりひこめたりしないで、なにをしても亀さんは亀さんなのですから、ありのままの姿で、被差別部落とその人々に向かいあってみてはどうでしょう。

    (注)『部落差別から自分を問う』という文章を、一挙に書きおろしていますが、途中何度か疲れを覚えました。 この節は、その疲れが反映しました。

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目次

 『部落差別から自分を問う』の目次 はじめに 第1章 部落差別を語る  1. 部落差別とはなにか  2. 部落<差別>とはなにか  3. 部落差別はなくなったか  4. 部落の呼称  5. 認識不足からくる差別文書  6. 部落の人々にとってのふるさと 第2章 差別意識を克服する...